会長挨拶

埼玉県トラック協会会長
一般社団法人
埼玉県トラック協会
会長 瀬山 豪

「埼玉県トラック協会の紹介」
 (一社)埼玉県トラック協会は、我が国の基盤産業である物流を支えている運送事業者の皆様に対し、経営支援・交通安全・労働環境改善等を推進するための事業を行っており、会員事業者には、安全対策や環境規制に適応できるよう各種助成を行う他、将来を見据えた運送事業のあり方や、後継者育成等についての事業も行っております。更には、トラックの森づくりとして「植樹」、県内小学校1年生全員へ防犯ブザーの配布、災害発生時における緊急物資輸送等、皆様の安心・安全に応えられるよう、日々研鑽に努めているところであります。

「トラック業界の現状」
 コロナ禍のこの3年を振り返ってみますと、感染症発生当初に会員全員にマスクの配布、続いてワクチンの優先接種、更には県内3ヶ所の病院のご協力を得て職域接種も実施することができました。しかしながら「新型コロナウイルス感染症の猛威」と「ロシアによるウクライナ侵攻」そして「円安」は、急激な燃油高騰を誘発し、我々の経営環境は今なお大変厳しい状況におかれております。
 そんな中埼玉県は、地方創生臨時交付金の中から、トラック運送事業者の経営改善の緊急支援として、総額35億円を超える予算をご決定いただき、令和4年12月から申請承認いただいた事業者全てに予算執行いただきました。これは、埼玉県はもとより地域のご理解のおかげでもあり、事業者を代表して心から感謝申し上げます「誠にありがとうございました」。改めて「物流を通して社会を支えるという我々の責務」と「地域に支えられ我々もあるという現実」を痛感させていただきました。

「今後の方向性と課題」
 令和2年6月の会長就任にあたって「コロナ対応」「SDGs」「標準的な運賃の届け出の推進」「後継者育成の環境整備」「大規模災害の備え」「脱炭素へ向けての準備」等々をマニフェストとして掲げさせていただきました。概ね順調に推移しておりますが、現状を踏まえて「2つの取組み」を令和5年度の重点事業といたしました。
 ひとつは、大規模災害の備えです。令和5年度から「施設管理・防災対応」の委員会が新設されます。災害時に対応できる人員(災害物流専門家)の育成に努めるほか、災害発生時に停滞することなくスムースに物資が届けられるように、埼玉県及び県内全市町村との「災害協定」における支援体制を強化することが目的です。地域への「安心・安全」の提供は、我々トラック運送事業者の責務のひとつと考えておりますので、ご支援ご協力をいただけたらと思います。
 もうひとつは、国に提示いただいた「標準的な運賃の届出」を推進することです。働き方改革関連法に基づき、令和6年4月1日からトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限される他、改正改善基準告示も施行となりますが、これらを遵守するためには、適正運賃の収受が必須です。令和3年の中小企業庁の調査は、「労務、原材料、燃油」其々のコスト上昇分に対する価格転嫁状況は、対象となる27業種中、全項目で「トラック運送」が最下位でした。これまでのような運賃や長時間労働ではトラックドライバーは集まりません。国や研究機関によると、このままでは2025年には28%の荷物が、そして2030年には35%の荷物が運べなくなるとしています。重要な社会インフラである物流が滞ることの無いよう「物流の2024年問題」という難題に対応してまいりますのでご理解いただけますようお願いいたします。

「結びに」
 トラック運送事業は、国内貨物輸送の90%を担っており、日々の国民生活や、日本の経済発展に欠くことのできない重要な産業であります。
 (一社)埼玉県トラック協会は「適正な運営と公正な競争による事業の発展をもって公共の福祉に寄与し、社会的地位の向上と会員相互の協調を図る」を目標に掲げ、経営者や業界に携わる社員が誇りを持って仕事にまい進でき、その生活が豊かになるよう、会員と一丸となって努力してまいります。今後ともご協力のほどお願い申し上げます。